2023(令和5)年3月議会一般質問「子育て支援について」

質問題目1、「子育て支援について」です。
先進自治体で子育て支援策で全国的に有名な兵庫県明石市では、いわゆる「5つの無料化」を実行しています。具体的には、「おむつ定期便」「18歳まで子ども医療費完全無償化」「中学校給食無償化」「第二子以降の保育料無償化」「子どもの遊び場無償化」です。最近、福岡市もこの一部の「おむつ定期便」「第二子以降の保育料無償化」を実行するという報道がされています。私は、福岡市に子育て世代が流出して税収が減ってしまうのではないかという懸念をしています。事実、最近、私の周辺の子育て世代の友人知人でこの報道を知って福岡市に引っ越しを検討している声を複数聞いており、大変な危機感を持っています。
最近、筑紫野市はあまり好ましくない出来事で全国ニュースに取り上げられる事態になりましたが、先進自治体の行っている政策を積極的に実行することで、筑紫野市のイメージを変えていく必要があるのではないかと考えています。1つ目の題目については、実際に想定をするとどうなるのか、という事も考えています。
以上の観点から質問を行います。
まず、1つ目です。
現状ですが、筑紫野市では乳幼児全戸訪問事業で、生後4カ月までの赤ちゃんがいるすべての家庭に家庭訪問を行っており、赤ちゃんの体重測定や育児相談、生後2カ月頃から始まる予防接種、乳幼児健診等の説明や、市の事業の案内をしています。今年の2月1日からは、「出産・子育て伴走型応援事業」として、経済的支援として妊娠届出後、妊婦1人あたり「出産応援給付金」として5万円、赤ちゃん訪問後、子ども1人あたり「子育て応援給付金」として5万円を現金給付する制度も始まっています。
「出産・子育て伴走型応援事業」とは違い、「おむつ定期便」は継続的な取り組みであるため、私は、こちらも実行するべきではないかと考えています。
「おむつ定期便」とは、研修を受けた見守り支援員である配達員が、赤ちゃんと保護者と会って紙おむつなどの子育て用品を毎月無料で届け、子育ての悩みや困りごとを聞き、相談内容に応じて、市の子育てサービスや子育て関連施設を紹介し、保護者と市の連携をはかります。対象は生後3ヶ月から満1歳の誕生月までで、子育て用品の内容は、毎月3000円相当の紙おむつや粉ミルクなどの子育て用品です。
この事業は、配達に合わせて赤ちゃんと保護者の見守りを目的としているので、見守り支援員と対面し受け取ることが必要となります。これは、平成31年3月19日に内閣府が児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議で、「児童虐待防止対策の抜本的強化について」が決定され、その中で、保護者が乳児全戸訪問事業や養育支援訪問事業等に拒否的である場合等に、訪問と併せて子育てに役立つプレゼントを配布するなどにより、保護者が支援を受け入れやすくする取組を進める、としているものと整合するものです。
そこで、質問項目1、「おむつ定期便を実行するべき」ではないでしょうか。現状想定される予算額も含めて、執行部の見解を求めます。
 次に、2つ目です。
 現状の筑紫野市の子ども医療制度は、3歳未満は、入院・通院は自己負担がなく無料です。3歳~就学前は、入院1日あたり500円で、1月あたり最大3,500円が限度で、通院は1月あたり600円が限度です。小学生は、入院については入院1日あたり500円で、1月あたり最大3,500円が限度で、通院は1月あたり1,200円が限度です。中学生については、入院1日あたり500円で、1月あたり最大3,500円が限度で、通院は1月あたり1,600円が限度です。これはいずれも1医療機関ごとに負担し、薬局での負担はありません。
 福岡市は、18歳まで1医療機関あたり通院の限度を1月500円、入院についても自己負担なしで無料とする対象を中学生から18歳まで拡大することを現在検討しています。
 筑紫野市は周辺市に足並みを揃えるのではなく、さらにその先を行くべきではないでしょうか。
 そこで、質問項目2、通院・入院ともに所得制限なしで「18歳まで子ども医療費を完全無償化するべき」ではないでしょうか。現状想定される予算額も含めて、執行部の見解を求めます。
 次に3つ目です。
 現状ですが、保育料は、生活保護法による被保護世帯などや市民税非課税世帯については無償化されており、それ以外の所得の世帯は3歳未満までが所得に応じた保育料を支払い、3歳以上の子どもは無償化されています。
現在、福岡市は、第二子以降の保育料を所得に関わらず完全無償化する方向で検討しています。
 そこで、質問項目3、市の「第二子以降保育無償化」の検討状況についてお尋ねします。現状想定される予算額も含めて、執行部の見解を求めます。
次に4つ目です。これは、令和3年9月議会で取り上げましたが、新市長就任に伴い、期待を込めて再度質問いたします。
子どもの貧困対策に関する大綱の中で、生活困窮世帯等への学習支援として、生活保護世帯の子どもを含む生活困窮世帯の子どもを対象に、生活困窮者自立支援法に基づき、子どもの学習・生活支援事業を実施し、学習支援や進路選択に関する相談等の支援を行うとあります。
少々古いですが、2016年に行われたNPO法人さいたまユースサポートネットの調査によると、この事業は委託での実施が約7割で、委託先としては、NPO法人など民間団体が中心で、実施しない最大の理由として「地域に実施できる団体や人がいない」が6割強となっています。そして、実施自治体の約7割が「生活保護受給世帯」を学習支援の対象としており、中学1~3年生を対象に実施している自治体が約7割です。対象世帯が全て参加しないのは、学ぶことへのあきらめが子ども、親の双方に見られるとのことです。
次に、課題ですが、市内の生活保護世帯で、親は病気で働けず、その子どもは小学校の低学年から不登校で、適応指導教室にも通えず、当然フリースクールに通うお金もないので、高学年になっても家にずっと一人でいるケースもあります。このようなケースでは、憲法第26条に基づく子どもの学習権が保障されていないとも言えるので、どうにかならないものかと思います。憲法の理念を活かす市政運営が必要だと私は考えます。
そして、この事業は、既に福岡県、そして17の市で実施されており、周辺では春日市と朝倉市は直営、那珂川市は委託するという形で行われています。
以前の質問への答弁は、「対象者を生活困窮世帯に限定し実施をするには、人権的配慮や交通手段の確保など課題を解決していく必要があります。このようなことから、子どもの貧困対策推進計画の策定及び学習支援などの対策事業につきましては、専門部会において情報収集や課題の把握を行い、効果的な事業の推進について研究をしてまいります。」というものでした。
児童福祉事業の実績もあるNPO法人がこの事業について興味を持っているという話も聞いています。そこで改めて事業の検討状況についてお尋ねします。
そこで、質問項目4、「生活困窮者自立支援法に基づく子どもの学習支援事業」を実施するべきではないでしょうか。執行部の見解を求めます。
次に5つ目です。
現状ですが、2月22日付の農業新聞の調査によると、小・中学校の給食を実施する全国約1600市区町村の3割が、2022年度に給食費を無償化しています。臨時交付金を活用したものが多いですが、交付金が切れる2023年度からは自主財源で無償化する自治体もあり、助成の動きが加速化しています。小中とも通年などで無償化した市町村は全都道府県で451に上り人口は数千から5万前後が大半ですが、20万規模の自治体もあります。
そこで、質問項目5、市の所得制限なしの「給食無償化」について現状想定される予算額も含めて、執行部の見解を求めます。

(1)健康福祉部長 答弁
初めに、おむつ定期便についてですが、実施自治体では、民間事業者による毎月の宅配を通じて、支援体制の強化に取り組まれています。本市において、同様の事業を月額1,500円相当の現物給付で行った場合、おむつ代を含めた委託料のみで年額約2,700万円の費用を要すると思われます。
乳児期の親子の悩みや不安は、成長・発達具合や、家庭の状況等に大きく影響を受けることから、個に寄り添った継続的・包括的な支援が望ましいと考えています。そのため、本市では、今年2月に開始した出産・子育て伴走型応援事業を窓口として、すべての妊産婦へ継続的にアプローチしていくとともに、既存事業の拡充や利用しやすいサービス内容の検討、関係機関や地域ボランティア等との協働に努め、乳児期の親子の支援体制の強化を図ってまいります。

(2)健康福祉部長 答弁
次に、18歳までの子ども医療費完全無償化についてですが、筑紫野市の子ども医療費支給事業は、県の助成事業を基準としながら、市独自に対象年齢の拡大や所得制限の撤廃を行ってまいりました。
18歳までを完全無償化にした場合、新たに年間約1億5千万円の予算が生じると推計しており、慎重に検討する必要があります。このため、更なる制度の拡充については、近隣市の動向を注視するとともに、国・県に対して自治体間での格差のない新たな医療費助成制度の創設を引き続き要望してまいります。

(3)健康福祉部長 答弁
次に第二子以降保育料無償化の検討状況についてですが、現在認可保育所の保育料については、国の制度に基づき、3歳児クラス以上の児童及び0から2歳児クラスの児童で非課税世帯等は無償、所得状況などの要件はありますが、多子世帯の負担軽減のため第二子の児童は半額、第三子以降の児童については無償としております。令和4年度の第二子以降の児童の徴収する保育料の年額はおよそ一億一千七百万円となっております。
現時点において保護者負担の更なる軽減について実施予定はありませんが、今後、国や近隣市の動向に注視してまいります。

(4)健康福祉部長 答弁
次に、生活困窮者自立支援法に基づく子どもの学習支援事業についてですが、人権的配慮が必要となることから、対象者への周知方法も含め、先進地の調査を行うとともに、本市における学習支援の現状にあった支援が行えるよう、関係各課と連携しながら検討してまいります。

(5)教育部長 答弁
給食無償化についての現状と市の見解についてですが、学校給食を運営するための経費の負担は、学校給食法及び同法施行令に基づき、施設及び設備に関する経費や人件費については学校の設置者が負担し、それ以外の食材料費や光熱水費等については、児童又は生徒の保護者が負担すると規定されています。
本市におきましては、保護者の負担軽減を図るため食材料費のみを学校給食費としてご負担いただいております。
学校給食費の無償化に伴い必要とされる予算額については、年間小学校で約3億2千万円、中学校で約1億8千万円、合計で毎年約5億円の経常経費が見込まれます。
本市におきましては、学校給食法に規定される受益者負担の観点から、現時点において学校給食費を無償化することは考えておりません。

2023(令和5)年3月議会一般質問「地域包括ケアシステムの充実について」

まず、1つ目です。
現状ですが、筑紫野市高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画では、令和5年度中に、「24時間定期巡回・随時対応型訪問介護・看護事業」の実施事業者の募集をすることになっています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、定期的な巡回や随時通報への対応など、利用者の心身の状況に応じて、24時間365日必要なサービスを必要なタイミングで柔軟に提供します。また、サービスの提供にあたって、訪問介護員だけでなく看護師なども連携しているため、介護と看護の一体的なサービス提供を受けることもできます。この制度は地域包括ケアシステムの要とも言われ2012年から始まっています。
具体的には、通常の訪問介護は1日1、2回と1回あたり30分から1時間単位でサービスが提供されていますが、この定期巡回サービスは、1日に何度もヘルパーや看護師が自宅を訪れ、短い時間でケアを行います。
NHKの報道を引用する形で紹介します。
83歳の男性は、今、「24時間定期巡回・随時対応型訪問介護・看護事業」を利用しています。自宅に毎日5回、ヘルパーや看護師が訪れます。男性は、おととし、かぜをこじらせて入院したのをきっかけに寝たきりの状態になりました。76歳の妻は、自分も腰痛があるため、施設に入れるしかないと考えていたとき、サービスの利用を勧められました。
1日の最初の訪問は朝7時。ヘルパーがおむつを交換し、着替えを手伝い、食事のために体を起こします。 午前10時には、週に2回、看護師が訪れます。体調をチェックし、体をほぐすリハビリをします。その後も、正午、午後3時、午後6時半にヘルパーが訪問。おむつを交換し、体を起こします。滞在時間はおよそ10 分。食事の世話は妻ができるため、おむつ交換など必要なケアが終われば、ヘルパーはすぐに引き上げます。1日に何度も体を起こしてもらうことで、男性は長い時間座れるようになり、車いすでの外出も可能になりました。
夜間などに何かあったときには、事業所に連絡すると対応してくれるため、妻は安心して自宅で介護が続けられると言います。短い時間で必要なケアを1日に何回も受けられます。自宅でも施設と同じような、きめ細かい介護を受けることができるのです。介護をしている人たちは、このサービスによって、お年寄りが自宅で生活を続けられる可能性が広がったと実感しています。
事業者の方は、「1日に1回ではなく、何回も必要なところにケアが提供されるということで、生活のリズム、利用者の生活のリズムに合わせたサービスを提供できると思っています」と話しています。
引用は以上ですが、私はこのNHKの報道、サービスがとても良かったので数年前ですが非常に印象に残っています。最大の問題は、事業所側の採算を取るのが難しいことです。移動距離が長いと効率が悪く、ガソリン代の負担も重くなります。また、対応できるヘルパーも足りません。
最新の現状ですが、2月6日付の福祉新聞で、厚生労働省が2月1日に公表した「介護事業経営概況調査」によると2021年度の全介護保険サービスの平均収支差率、これはコロナなどの補助金を含めた収入と支出の差ですが、これが前年度費0.9%減の3.0%とコロナ禍で介護施設の経営が悪化しています。そして、サービス別に見ると収入に対する人件費の割合は定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業が78・5%と最も高くなっています。
そして、筑紫野市においても、令和4年度もこの事業の実施事業者を募集しましたが、応募がありませんでした。これはやはり安定した経営をするにあたって、人件費の高さが最大の課題になっていることが、参入につながらない理由かと思われます。
県の福岡県介護施設等整備事業は、介護施設等の開設・設置に必要な準備経費に対して支援を行う補助金ですが、それだけでは運営を継続するには不十分ですので、経営が安定するよう、例えばガソリン代の補助や現在保育士の人材確保事業で行っているような家賃補助を介護職員に行うような市独自の制度を検討するべきではないでしょうか。
そこで質問項目1、「24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業の実施事業者に助成するべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。

次に2つ目です。
地域包括ケアとは、医療や介護が必要な状態になっても、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保されるという考え方のことです。そして、地域包括ケアシステムの推進を担う役割として、生活支援コーディネーターは、高齢者の生活支援・介護予防の体制整備を推進していくことを目的とし、地域において、生活支援及び介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能を果たす者のことです。別名「地域支え合い推進員」とも言います。
第1層の規模は市全体で国から委託費は800万円、第2層の規模は中学校区域で委託費は400万円。第3層の規模は町内会規模で生活支援サービス事業の主体となっています。生活支援コーディネーターには6つの役割があります。①地域のニーズと資源の見える化、問題提起を行います。具体的には、地域の社会資源を見える化、ワークショップを行って地域のニーズを把握して、協議体にプレゼンテーションをして問題提起を行って、解決方法を探すことをします。②地縁組織など多様な主体への協力依頼など働きかけをします。具体的には、ニーズ調査の協力依頼や実施を行います。③関係者のネットワーク化をします。例えば、協議体のニーズ調査をもとに、活動開始の提案を行う活動に必要なメンバーに参加してもらい、ネットワークをつなぎます。④目指す地域の姿、方針の共有し、意識の統一をします。例えば、目標設定、活動内容、活動計画を共同で作成し、協議体で地域住民へ説明し同意を得ていきます。⑤生活支援の担い手の要請やサービスの開発を行います。定期的なサポーターの養成、サポーター定例会の実施、書類作成支援や保険や補助金団体立ち上げ支援、マッチングシステムの構築して同意を得ていきます。⑥ニーズとサービスのマッチングで、定期的にニーズ調査実施、口コミで困りごとを抱えるひとを見つけ、サービスを提供します。
現状ですが、市には社協に委託する形で生活支援コーディネーターを1人配置していますが、全く人が足りない状況です。筑紫南コミュニティは進んでいて、たすけ愛・みなみという高齢者の日常生活支援を行っており、毎日の暮らしの中でのちょっとした「困りごと」を会員相互で解決する活動です。こういったものを市全域に拡大させるためには生活支援コーディネーターの増員が必要で、あと2、3人は増員するべきです。
そこで質問項目2、「生活支援コーディネーターを増員するべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。

(健康福祉部長 答弁)
初めに、24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護の実施事業者への助成についてですが、現在、市内には、実施事業者はなく、定期的に公募をおこなっています。本市としましては、なるべく多くの高齢者が、在宅生活を継続するために、必要なサービスと考えております。まずは、近隣自治体にて運営する事業所等へ調査をおこない、参入するための課題を精査してまいりたいと考えております。
次に、生活支援コーディネーターの増員についてですが、本市は、平成29年度より生活支援コーディネーターを配置し、各コミュニティ運営協議会をはじめとした関係団体と地域での支え合い活動について協議し、市職員とともに、地域包括ケアシステムの土台づくりに取り組んでまいりました。今後、地域での支え合いを推進するために、担い手育成と、高齢者の生活支援についてニーズの把握を行う予定にしており、その結果を踏まえて、生活支援コーディネーターの配置数について検討してまいります。