令和3(2021)年9月議会 一般質問②インクルーシブ公園の整備について

質問題目2、「インクルーシブ公園の整備について」です。
 まず、現状ですが、私は、放課後等デイサービスや児童発達支援の事業所に通う障がいを持つ子どもを抱える保護者の方から、「地域の公園が使いづらい」という声を聴いています。また、2020年に「一般社団法人TOKYO PLAY」と「公益財団法人 京都公園協会」の聞き取り調査によると、障がいのある子どもの親の多くが「公園に行きにくい」と回答し、家族に障がい者がいない人のうち7割が「障がい者と関わる機会がない」「どう接していいかわからない」と回答しています。


 この問題を解決するのが、今注目されている「インクルーシブ公園」です。インクルーシブとは、「全てを含んだ」という意味で、インクルーシブ公園とは障がいを持つ子どもが他の子どもと一緒に楽しめる遊具のある公園で、1990年代以降に欧米で広がったものです。しかし、日本のほとんどの公園は障がいのない子ども向けに設計されているのが現状です。


 例えば、東京都豊島(としま)区が2020年9月に設置した「としまキッズパーク」では、大人が抱っこして滑ることのできる幅広の滑り台や、台の上に砂が置かれ、車いすに乗ったまま遊ぶことができる砂場などがあります。ミニSLも乗り降りしやすいよう工夫されています。地面はウッドデッキで車いすでも動き回りやすいです。保護者の方からも「他の子どもと手を振りあって交流することができた」と好評だそうです。インクルーシブ公園用の遊具の開発に力を入れるメーカーも出てきており、安全性も高いそうです。


 私は、公共施設のバリアフリー化を含め、インクルーシブ公園の整備にあたっては、自治体、障がいのある子ども・保護者の意見、地域住民、経験のある一級建築士や公園設計等の専門家が計画段階からバリアフリー検討委員会を設置して協議することが望ましい、と考えています。まずはできること、例えば、費用はかかりますが、公園の地面をゴムチップに変えるなど着実にできることから始めていくべきです。


 あらゆる人にとって、安全性が高く使いやすい公園は、市の進めるSDGsの取り組みにも資するものです。


 そこで、質問項目1、「インクルーシブ公園を整備すべき」ではないでしょうか。現状も含めて執行部の見解をお尋ねします。

【答弁要旨】(答弁者:建設部長)
インクルーシブ公園の整備についてですが、本市の公園におきましては、使いやすさや安全性の向上を図るために、子どもの対象年齢層別の遊具の設置や園路のバリアフリー化に取り組んでおります。今後も地域住民や利用者の意見を聞きながら公園の整備に努めてまいります。

令和3(2021)年9月議会 一般質問①子どもの貧困対策について

質問題目1、「子どもの貧困対策について」です。
 まず、現状ですが、政府が2020年に発表した子どもの貧困率は13.5%にのぼり、子どもの7人に1人、約290万人が貧困状態にあると推計されています。


 貧困といっても様々ですが食事・衣服など生きる状態もままならない状態を「絶対的貧困」といい、貧しい途上国などがこの状態にありますが、「相対的貧困」とは、経済的理由でその国の大勢の人が持っているものを持っていない、体験に参加できないなどいわゆる「普通の生活」をおくることができない状況の事をいいます。絶対的貧困は視覚的に困窮状態を理解しやすい特徴がありますが、相対的貧困は社会一般や人と比較するため、明確ではない為、「見えない貧困」と言われています。


 そして、2019年改正の貧困対策法で、改正法では市町村に貧困対策の計画策定が努力義務化されました。また、子供の貧困対策に関する大綱も策定されました。


 その大綱の中では、「現在から将来にわたり、全ての子供たちが夢や希望を持てる社会を目指し、子育てや貧困を家庭のみの責任とせず、子供を第一に考えた支援を包括的・早期に実施する」ことを目的とし、基本的方針として、「①親の妊娠・出産期から子供の社会的自立までの切れ目のない支援、②支援が届かない又は届きにくい子供・家庭への配慮、③地方公共団体による取組の充実」を掲げました。


 令和3年4月21日時点で、県内では、福岡市、春日市、大野城市、筑前町などを始め24市町が計画を策定しています。
 そこで、質問項目1、法改正で策定が努力義務化された「子どもの貧困対策計画の策定状況」について、市内の子どもの貧困の状況も含めて執行部にお尋ねします。


次に、2つ目の項目です。
まず、現状ですが、私は市民の方から、「子どもの貧困の担当がいないのは何故か」と聞かれた事があります。
また、子どもの貧困対策は、所得の状況を把握する市民生活部の税務課や国保年金課、健康福祉部の子育て支援課や保護課など部をまたいだ連携が必要となってきます。そのため、自治体によっては、条例を制定して子どもの貧困対策部を設置し、部をまたいだ連携をするための担当を置いているところもあります。私が自費参加の勉強会で研修に行ったある東京の区では、現場経験のある職員を子どもの貧困対策担当として配置し、区の既存の政策パッケージを最大限活用し、行政が積極的に働きかける、いわゆるアウトリーチ型の支援を貧困家庭に行ったところ、子どもの貧困が改善したという効果があったそうです。筑紫野市でも同様の取り組みを行うべきではないでしょうか。


そこで、質問項目2、「子どもの貧困対策を所管する担当を設置すべき」ではないでしょうか。現状も含めて執行部の見解をお尋ねします。


次に、3つ目の項目です。
まず、現状ですが、子どもの貧困対策に関する大綱の中で、生活困窮世帯等への学習支援として、「生活保護世帯の子供を含む生活困窮世帯の子供を対象に、生活困窮者自立支援法に基づき、子どもの学習・生活支援事業を実施し、学習支援や進路選択に関する相談等の支援を行う。」とあります。この事業は、すでに福岡県、そして17の市で実施されており、周辺では、春日市と朝倉市は直営、那珂川市はNPO法人ワーカーズコープに委託するという形で行われています。


次に、課題ですが、市内の生活保護世帯で、親は病気で働けず、子どもは小学校低学年から不登校で、適応指導教室にも通えず、当然フリースクールに通うお金もないので、高学年になっても家にずっと一人でいるケースもあるそうです。このようなケースでは、子どもの学習権が保障されていないともいえるので、どうにかならないものかと思います。今、一例を上げましたが、公立小中学校の不登校の生徒数から、フリースクールや適応指導教室に行っている児童の人数を引けば、地域には支援を受けられていない子どもがいることはわかるかと思います。以前、引きこもりの件について一般質問した時にも言いましたが、不登校から引きこもりになるケースもあるので、できるだけ早期の介入が必要です。


そこで、質問項目3、貧困の連鎖を断ち切るために「生活困窮者自立支援法に基づく子どもの学習支援事業を行うべき」ではないでしょうか。現状も含めて執行部の見解をお尋ねします。


次に、4つ目の項目です。
まず、現状ですが、子どもの貧困対策に関する大綱の中で、平成29年の調査と少々古いですが、ひとり親世帯で食料を買えない経験があるのが34.9%、子どもがいる全世帯で見ると16.9%にものぼり、いわゆる絶対的貧困のレベルに陥りつつある世帯もあることがわかります。そして、コロナ禍でこの問題はさらに深刻化しているのが現状です。


令和3年3月に策定した第2期福岡県子どもの貧困対策推進計画では、令和2年10月~12月にかけて、筑紫地区の子ども食堂において、子ども食堂及びフードパントリーを利用した子どもへのアンケート調査が掲載されています。その中で、「自分の家にいるときが安心できない」、また、「自分の家以外に安心できる居場所がない」状況に置かれている子どもが一定数いることから、子どもが地域のなかで安心して過ごせる居場所を確保していく必要がある、とあります。最近は、子ども食堂の事を地域食堂と呼ぶ場合もあるそうなので、親や地域の人も参加することを想定して、今日の質問では子ども食堂ではなく地域食堂と言います。


筑紫野市でも地域食堂は行われていますが、市との連携は行われておらず、ボランティアの方の交通費等の補助もありません。まず、行政と連携から始め、交通費等の補助から始めるべきでなないでしょうか。単に子どもに食事を提供するだけでなく、子どもの居場所づくりとしても有益です。


また、私は、「子ども宅食」も導入するべきだと考えます。「子ども宅食」は、生活に余裕がない子育て世帯に食品を届ける取り組みです。例えば、東京都文京区で行われている「子ども宅食」は、児童扶養手当や就学援助を受けている世帯向けに、区に集まったふるさと納税の寄付金や食品メーカーの寄付を財源に、運送会社が配送するものです。これは、LINEで申し込みができるので、人目を気にする必要がありません。他の例では、NPO法人などの市民社会組織(CSO)を誘致している佐賀県では、ふるさと納税を活用し、使い道を県指定のCSOに限定でき事務経費5%を除いた95%がCSOに入るという仕組みで、ふるさと納税を使って活動資金を集めて「子ども宅食」を行っています。いわゆるガバメントクラウドファンディング型ふるさと納税です。
また、私はコロナ禍で給食がなくなった子ども達のために地域の飲食店を「地域食堂化」する茨城県境町の取り組みを行うべきだと考えます。ふるさと納税で募った寄付金を原資に、離れたところにいる人に食事をごちそうできる「ごちめし」というスマートフォンアプリを活用し、情報を得た子ども達が無料で500円相当のテイクアウト弁当を食べられるという仕組みです。これは、子育て家庭と地域の飲食店の双方を同時に支援できる「境町モデル」とも呼ばれている画期的な取り組みです。


そこで、質問項目4、今述べたような形で「子ども宅食・地域食堂の支援をすべき」ではないでしょうか。現状も含めて執行部の見解をお尋ねします。

【答弁要旨】(答弁者:健康福祉部長)
第1項目から第3項目は関連がありますので、一括して答弁いたします。
子どもの貧困状況については、生活保護、就学援助の状況から、厳しい状況であると認識しており、地域福祉計画を始めとする各種計画の貧困対策の推進と連携を充実させるため、令和2年度に「筑紫野市地域福祉計画等推進庁内委員会」の下部組織として、子どもの貧困対策専門部会を設置し、2回の会議を行いました。生活困窮者自立支援事業を実施している保護課を所管課として、子育て支援課や学校教育課など、関係課との情報共有や連携を密にした相談支援体制を構築しています。


生活困窮者自立支援法に基づく学習支援についてですが、対象者を生活困窮世帯に限定し実施するには、人権的配慮や交通手段の確保など、課題を解決していく必要があります。


このようなことから、子どもの貧困対策推進計画の策定及び学習支援などの対策事業につきましては、専門部会において情報収集や課題の把握を行い、効果的な事業の推進について研究をしてまいります。

次に、子どもの宅食・地域食堂への支援についてですが、地域や団体が地域食堂を運営し、地域の居場所づくりの一翼を担っていることは認識しております。行政による支援につきましては、子ども宅食と併せて、専門部会において先進事例を調査してまいります。

令和3(2021)年6月議会 一般質問③市民図書館の利便性向上について

次に、質問題目3、「市民図書館の利便性向上について」です。

まず、1つ目です。現状と課題ですが、全国的な傾向ですが、子どもの読書離れがわが市でも現れており、筑紫野市教育振興基本計画には、「子どもの読書活動の推進に関する法律第9条2項に規定する筑紫野市子ども読書活動推進計画としての取り組みとして、子どもの読書意欲の向上や市民図書館の利用促進に努める」とあります。

また、以前の議会で、読書バリアフリー法の施行に伴い、わが市でも「視覚障害者や発達障害者などに向け、本文が点字または文字が大きい図書や小説などの朗読を録音した録音図書、読書支援のための対面朗読室などを整備し、提供しており、今後も視聴覚障害者などの利用実態や需要を踏まえながら、利便性の向上に努める」との方針が示されています。

文科省告示の「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」では、市町村立図書館による「利用者に対応したサービス」の1つとして、「宅配サービスの実施」が例示されています。また、障がい者差別解消法への対応策を日本図書館協会障がい者サービス委員会がまとめた「図書館における障がいを理由とする差別の解消の推進に関するガイドライン」には、合理的配慮の一例として、「自宅に出向いての貸し出し」や「来館が困難な人が対象の職員による宅配サービス」を挙げています。ちなみに、障がい者差別解消法における合理的な配慮の提供は自治体の法的義務であり、不提供をするなら「過度の負担である」ことを証明しなければなりません。

1級、2級の肢体不自由者や視覚障がい者の方向けとなると、郵送・宅配料について、点字郵便物、特定録音等郵便物は郵送料が無料であり、重度障がい者用ゆうメールは基本料金を半額に減免されており、図書館の費用負担が比較的少ないこともあり、図書館負担とすることが一般的ですが、返送は利用者負担としたり、ボランティア宅配を活用したりする例もあります。

高齢者に対しては、「高齢者世帯宅配」を実施している自治体もあり、図書館員が宅配するサービスを行うことで、利用者に費用負担が生じないようにされています。

筑紫野市においてもブックスタート事業は行われていますが、他の自治体では、子育て世代に対して、乳幼児の保護者や妊婦、子育て支援活動者を対象に宅配料は利用者負担で「おすすめ絵本・育児書の宅配セット貸し出し」を実施しているところもあります。

筑紫野市にもつくしんぼ号など良い行政サービスがありますが、それでも「子どもが小さいと図書館に行くのが大変」「図書館が遠くていけない」など共働きの子育て世代や開館時間中に来館できない利用者に向けた新たな取り組みとして、新たなアウトリーチ型のサービスを提供するべきではないでしょうか。人手と費用を要しますが、その経費としてかかる郵送・宅配料を受益者負担とすることで、新たな予算の確保をしなくても、サービスの提供ができるのが特徴です。

書籍の郵送・宅配サービスは、近隣市では、福岡市、久留米市、筑後市、春日市で行われています。

そこで、質問項目1、今述べたような「書籍等の郵送・宅配サービスを導入するべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。

次に、2つ目です。

現在、返却ボックスについては、図書館のブックポストやつくしんぼ号での返却が可能です。あらゆる人に対して、さらなる利便性向上のために、コミュニティセンターや駅で返却できるよう、返却ボックスを設置するべきだと考えます。なお、同様の取り組みは大野城市や春日市で行われています。

そこで、質問項目2、「コミセンや駅等に返却ボックスの設置をするべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。

次に、3つ目の項目です。現状は、市民図書館の利用者の推移は、平成28年度は17万8,101人、平成29年度は18万1,479人、平成30年度は18万6,571人と増加している状況です。令和元年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、貸出総冊数、新規登録者数が減少傾向にあるという課題があります。

また、筑紫野市の図書館は、いわゆる貸出型のタイプで、市民の方から武雄図書館のような滞在型図書館を望む声はありますが、施設の構造上、建て替えや大規模改修が必要となり、導入は難しいという課題もあります。

 そこで、最近注目されているのが、福岡県、福岡市、田川市、宗像市、行橋市、春日市などの自治体で導入が進んでいるのが、電子図書館の取り組みです。電子図書館は、大手書店と契約してシステムを導入し、インターネット上で電子書籍を借り、パソコンやスマートフォン、タブレット端末を利用し、ネット上で閲覧する仕組みです。電子書籍は、スマホなど画面上で文字を拡大でき、音声読み上げ機能もあり、視覚障がい者の方にも便利なよう対応しています。返却期限になれば自動的に読めなくなり、未返却や破損の恐れもありません。

効果としては、「書籍のリクエストは受け付けているか」などの反響や、コロナ禍前に比べて貸出数が急増するケースも出ています。小中学生は児童書や問題集を借りるケースが多く、それ以外でもヨガやストレッチなど健康や料理に関する本、ガイドブックの貸し出しが多いそうです。

 私は、市民の方からのご意見から、利便性向上のため、「いつでも・どこでも本が読める」という事が求められているのではないかと考えています。

 そこで、質問項目3、「電子図書館を導入するべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。

【答弁要旨】(答弁者:教育部長)

初めに、書籍等の郵送・宅配サービスについてですが、導入自治体では、利用件数が少ないことや、本の梱包作業から集荷依頼など申込みから到着まで数日がかかるため、現在のところ導入する予定はありません。

次に、返却ボックスの設置についてですが、利用者は、本の借用と同時に返却する傾向が高いことや、返却ボックスを設置する自治体では、ゴミの投入による本の汚損など課題もあることから現在のところ考えてはおりません。

次に、電子図書館の導入についてですが、来館が難しい利用者やコロナ禍でやむなく休館となった場合でも専用のホームページから電子書籍を貸し出し、スマートフォンなどで読むことができることから、調査・研究を進めてまいります。

令和3(2021)年6月議会 一般質問②森林環境譲与税を活用した地域活性化について

次に、質問題目2、「森林環境譲与税を活用した地域活性化について」です。

 まず、現状ですが、国から交付される森林環境譲与税は基金に積み立て、間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備等の事業に向け、対象となる森林の抽出を行うとあります。林野庁のまとめている森林経営管理制度の導入例では、流れとしては、意向調査を協議会や森林組合等に委託し、現地調査や所有者の同意取得を行い、集積計画を立て、林業経営者に再委託する配分計画の策定、事業を発注することになるかと思います。

 そこで、質問項目1、「森林状況調査業務の進捗状況」についてお尋ねします。

次に、2つ目の項目です。

まず、現状ですが、木材の価格が低迷しているのは周知のとおりですが、それに加え林業経営の構造的に大きな課題となるのが、植えてから伐採まで約50年と時間がかかるため木材需要の伸びや、社会状況の変化への対応が難しく、自分の代で収穫できないため後継者の問題も発生することです。そして、林業で最も重労働かつ過酷な作業で、離職の大きな原因となっており、そして経費もかかるのが下刈り作業です。

これを解決するために佐賀県林業試験場で開発されたのが、成長の早い「次世代スギ」です。通常より短い30年で育つため、経済性に優れ、経費のかかる下刈作業も期間も短縮され、植える本数も従来の6割程度で済むと想定されています。また、スギ花粉の発生量も一般的なスギよりかなり少なく、花粉症の発生が抑制されることから、医療費の削減にもなるかと思われます。成長が早い一方、強度は十分にあり、「三拍子そろったスギ」と言われ、2022年3月に一般向けの苗の販売を始める予定だそうです。

他にも、成長の早い「早生樹」であるセンダンを植える試みが始まっています。センダンとはアジアなどの暖かい地域に分布する広葉樹の一種で、成長が非常に早く、10~20年で伐採することができます。これまで、センダンは成長すると幹が枝分かれし木材利用が難しかったのですが、熊本県で幹をまっすぐに成長させる手法が確立し、九州や近畿地方を中心に植樹の動きが広がっています。

そこで、質問項目2、「次世代スギやセンダンを整備するべき」ではないでしょうか。現状も含めて執行部の見解を求めます。

次に、3つ目の項目です。

 林野庁は、中長期的な林業のあり方を示した「森林・林業基本計画」の改定案をまとめ、公共建築物や発電や熱利用への需要を開拓、木材自給率を2025年に5割に高めることを目指すとしています。森林資源の循環利用を進め、林業の成長産業化する必要があります。

例えば、まず成長産業の利用例の1つとして、急速に需要が伸びている木質バイオマス発電の燃料材としての利用です。木質バイオマス発電とは、木質バイオマスを燃やしてタービンを回して発電する仕組みを指します。発電方法は、製材した際の余った端材(はざい)や木質チップを直接燃焼させて、発電させる「蒸気タービン方式」が主なものです。通常なら30%程度の熱効率ですが、熱電併給ボイラーで生成した蒸気を分岐して発電と熱利用に用い、分岐した蒸気を木材乾燥等他の用途に活用することで、発電効率と熱効率をあわせれば全体として60%くらいの熱効率とすることが可能です。

また、排余熱の利用として発電の排熱(蒸気の冷却に使われた排温水等)を、農業用ハウスの加温や養殖用の水の加温等に使う方法があります。発電所設置以前から熱需要の確保、配管等の設備投資等をふまえた設計を考慮する必要があります。

他にも、EUではバイオマス発電にORC(有機ランキンサイクル)という水より沸点の低い有機媒体、例えばシリコンオイル等を利用してタービンを回し発電する仕組み、いわゆるORC発電を併用することも行われており、排余熱や余剰分を利用することが可能です。

木質バイオマス発電も木を燃やすときには二酸化炭素が発生しますが、その二酸化炭素は木が成長するときに大気中から吸収したものなので、大気中の二酸化炭素の量は変化しないという「カーボンニュートラル」という考え方が当てはまります。このため、木を燃料にすることは二酸化炭素の排出を抑え、地球温暖化防止に貢献することになります。その他にも、間伐材の収集や搬出・搬入、バイオマスエネルギーの発電所の新設や運営などを通して、新しい雇用や産業が生まれ、林業の振興、エネルギーの地産地消による地域活性化も期待できます。金融機関も長すぎる回収期間が壁となって林業への融資が難しかったのですが、木質バイオマス発電向けなら、数年でも資金回収が可能で、すでに宮崎県などでは導入が進んでいます。

次に、他の成長産業の利用例としては、木材由来の新素材であるセルロースナノファイバーなどの需要の拡大も見込めます。セルロースナノファイバーは、植物繊維由来であることから、生産・廃棄に関する環境負荷が小さく、軽量で、例えば、樹脂やゴムにセルロースナノファイバーを混ぜると、軽くて強い自動車部品が作れます。熱による寸法変化が小さく、空気を通しにくいフィルムなど、優れた特性があります。最近では、高性能蓄電池の材料としても期待されています。

他の産業への利用としては、公共建築など非住宅建築物への利用、地元の住宅会社による建設資材の地産地消などが考えられます。

森林には家具や住宅材などの木材供給はもちろん、水源のかん養や防災、景観、二酸化炭素吸収、生物多様性の保全など多様な役割があり、市の進めるSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みにも資するものです。

 そこで、質問項目3、今述べたような「林業振興で雇用創出、地元木材を活用した産業振興するべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。

【答弁要旨】(答弁者:建設環境部長)

森林状況調査業務の進捗状況は、昨年度より着手し、現状把握のため、調査対象の民有林の約50%、1,900ヘクタールの調査を行ったところでございます。

次世代スギなどの整備につきましては、所有者や関係機関に情報提供を行ってまいります。

雇用創出や産業振興につきましては、森林組合等と連携を取りながら、今後も進めてまいりたいと考えます。

令和3(2021)年6月議会 一般質問①資源ごみ持ち去り禁止条例の制定について

質問題目1、「資源ごみ持ち去り禁止条例の制定について」です。

まず、現状についてですが、マンションやゴミ集積場に捨てている空き缶等の資源物の持ち去り行為などが起こっていると市民の方からのご意見がありました。また、数年前ですが私も近所の集積場で持ち去り行為を実際に見たことがあります。資源ごみは、市や自治会等での貴重な収入源になっており、空き缶の収集への協力のお願いなどを呼びかけているシニアクラブなどもあります。

そこで、質問項目1、「資源ごみ持ち去りの現状」についてお尋ねします。

次に、2つ目の項目です。

まず、現状についてですが、以前議会で資源ごみの持ち去りを禁止する条例制定を求める陳情が出されましたが、制定には至っておりません。条例のない現状では規制が難しいという課題があります。福岡市、久留米市、飯塚市、田川市、築上町では条例を制定しており、持ち去り行為を罰則付きで禁止しています。周辺の、太宰府市、大野城市、那珂川市では条例制定はしておらず、春日市には条例はありませんが、ゴミ袋に「持ち去り禁止の表示」があります。

全国的に問題となっている資源物の持ち去りを防止するためにも、まず条例制定の前にできることを確実にするべきだと考えます。

そこで、質問項目2、「ごみ袋や集積場に持ち去り禁止の表示をするべき」ではないでしょうか。現状も含めて執行部の見解を求めます。

次に、3つ目の項目です。

 少々古いですが、平成29年度、全国1741市区町村を対象にアンケート調査を実施した結果、395の自治体が「資源ごみの持ち去りを規制する条例等」を制定済みと回答しています。これは、全国の2割以上の自治体で制定されていることになります。

 罰則付きの条例は、構成要件を明確化する必要がありますが、例えば、集積場など、立ち入りや持ち去りを禁止している場所を明確化、集積場に持ち去り禁止の看板を設置しているか、規制するごみの種別をどうするか、間接罰によるので、違法行為に対して、まず行政指導や行政命令を行い、その指導・命令に違反する行為があった場合に前科のつく罰金にするか行政罰の過料にするか、罰則の金額をいくらにするか、個人と法人に対する両罰規定にするか、など検討する事項は多岐にわたります。また、業者に対して、禁止命令をかけた持ち去り者から買い取らないよう指導し、違反した業者に対し禁止命令を出すという方法もあります。罰則がなくても、条例制定だけで一定程度の効果を上げている自治体もあります。

 ここで、1つ注意しなければならないのは、経済困窮者の方などが、やむを得ず持ち去りをしている場合もあるかと思いますので、そのような方は行政から積極的に働きかける、いわゆるアウトリーチ型の支援を行い、適切に福祉につなぐ配慮も自治体として忘れてはなりません。

 今述べたように、条例制定には多くの検討事項を要し、罰則を制定する際には検察庁との協議も必要で、多大な労力が必要かと思いますが、私は、条例制定は必要だと考えます。

 そこで、質問項目3、「資源ごみ持ち去り禁止条例を制定するべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。

【答弁要旨】(答弁者:建設環境部長)

まず初めに、資源ごみの持ち去りに関する現状につきましては、集団回収など個々の状況があることから件数を把握することは困難であると考えております。

次に、持ち去り禁止の表示についてですが、ごみ袋のデザインを変更する際に表示を行いたいと思います。また、集積場につきましては、地域等で管理されておりますので、持ち去り防止の対応策をホームページや回収団体等を通して周知して参ります。

次に、条例の制定についてですが、まずは、地域に、持ち去り防止の周知を図ることが重要でありますので、条例を制定することは考えておりません。

 まず、資源ごみの所有権を明確化するためにも「持ち去り禁止の表示」は必要だと思いますので、すぐにできることから着手するとの答弁を頂きましたので、一歩前進ということで担当課の職員の方の努力に期待して、次の質問に移ります。