2023(令和5)年6月議会一般質問「筑紫野市子ども条例について」

質問題目1、「筑紫野市子ども条例について」です。2019年6月議会でも質問しましたが、市民の方からの要望で再度質問いたします。


まず、全国の現状ですが、子どもの権利に関する条例の制定について、都道府県が27団体で30条例を制定、政令指定都市では9団体が条例を制定しており、市区町村では、147団体で制定され、条例の制定が加速しています。しかし、条例で、子どもの相談・救済機関まで設置している自治体は約40程度に過ぎず、自治体によって、「子どもオンブズマン」、「子どもの権利擁護委員、権利救済委員」など名称は異なりますが、いずれも役割は同じものとなっています。
国も子どもの権利条約に基づく国連・子どもの権利委員会からの勧告を受けて、2022年6月に子ども政策の司令塔となる子ども家庭庁設置法・整備法と子ども基本法を制定しましたが、子どもの権利が守られているかを監視するための第三者機関である「子どもコミッショナー」の設置は見送られました。


そして、福岡県内の現状ですが、2006年に志免町で条例が制定されたのを始めとして、2008年に筑前町、2012年に宗像市、2017年に川崎町、2019年に古賀市、2020年に宇美町、2021年に那珂川市、2022年に田川市と合計9つの自治体で条例が制定されています。糸島市も条例制定を予定していると聞いています。


次に、市の現状ですが、市のHPにあるように、子どもたちが安心して健やかに育つことができるように、児童の権利に関する条約にあるような子どもの権利の尊重の観点から意識啓発を図るため、「筑紫野市子ども条例」が2010年に制定されており、子育て支援課を窓口として、独立した外部の子どもの相談・救済機関として「子どもの権利救済委員」が2名非常勤で配置されています。先程述べた国や全国の自治体の動向からも、この条例は、今でも先進的で素晴らしいものだと考えます。


ここで、権利救済委員の相談体制の充実にあたって、なぜ、子どもの権利救済制度が必要かについて改めて考える必要があるのではないでしょうか。子どもたちの現状を見ると、例えば不登校については、文科省が行った令和2年不登校児童生徒の実態調査では、最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけのうち、小学生の1位と中学生の3位は「先生のこと」、中学生の2位が「勉強がわからない」となっています。教育を受ける権利を保障する場であるはずの学校で、勉強についていけない子どもたちがいること、また、教師との関係で学校が安心して勉強できる環境になっていないことが推察されます。現に、私が過去に不登校の児童の保護者からいくつか相談を受けていた内容で、先生との関係を上げていたのが2件ありましたので、その後この件は解決しましたが、実感にも合います。人間、合う合わないもあるのは仕方のないことなので、そのような時の調整役として、権利救済委員に相談していればよかったのでは、と考えています。


今年度もスクールソーシャルワーカーの増員について、私は今回の予算は高く評価していますが、なぜスクールソーシャルワーカーだけでなく、外部の相談機関が必要かと言う点について述べます。2020年10月から2022年8月に行われた子ども基本法制定等に向けた子ども・若者へのヒアリングで、アンケート調査を引用しますと、ある中学生が、「生徒の声を聞かず怒っている先生に対して、もっと子どもの声に耳を傾けてほしいと訴えたが、内申点に響くので諦めざるを得なかった」というものがあります。このような声からも、学校内だけではなく、独立した守秘義務を持つ権利救済機関を置くことの必要性があるといえるのではないでしょうか。


また、通常の相談窓口は、教育、医療、法律、虐待、いじめ、ヤングケアラーの問題など相談者自身が相談先を選ぶ必要性がありますが、子どもの権利救済機関への相談の場合はワンストップサービスで、「困っている場合はどんなことでも相談してね」というスタンスで子供に対して広く相談を受け付ける点が違います。例えば、いじめの相談は自分がいじめられていると認識していない場合や、もしくは認めたくないという思いもあるため、いじめの初期に相談窓口に相談することは子どもの精神的な負担が大きいですが、権利救済機関の場合は、単に、人間関係がうまくいかないなど、おおまかな内容で相談することもできます。不登校の相談であっても、教員と合わない場合や教員の不適切な対応がいじめを誘発している場合、発達障がいの子どもへの支援が不足している場合、非行やいじめ加害児童の背景に虐待がある場合など、様々な背景がある場合の包括的なアプローチが可能となります。


私も市民相談で、子どものいじめに関する相談を受けて、権利救済委員につなぎ、第三者委員会が設置されたことがあり、効果を実感しているところです。
しかし、市の権利救済制度については、残念ながら課題があります。①十分な予算がつけられておらず、常勤の相談員がいないこと。②フリーダイヤルの電話がないこと。③電話か来庁する形でしか相談できないこと。アンケート調査を行っていないので、正確な割合はわかりませんが、④子どもたちの認知度が低いこと。これは常勤の相談員を配置していないので、仕方のないことではあるのですが、⑤条例が施行された2011年~2022年度までの12年間で17件と相談件数が少ないこと、などがあります。


そこで、まず、参考に県内で一番進んでおり、評価の高い宗像市の事例を紹介します。
宗像市は、子ども条例制定後、相談室を設置し、開設初年度前半に市内の全小中学校に訪問し、全校集会や始業式、終業式など全校児童生徒が集まる機会に紙芝居やプロジェクターを使って子どもの権利や相談室についてのプレゼンテーションを行っており、工夫を凝らした活動で、開設2年で相談室の認知率が95.1%となったそうです。


参考までに資料①も併せてご覧ください。
宗像市のHPを引用しますが、令和3年度、子どもの権利相談室「ハッピークローバー」に寄せられた相談件数は179件、延べ541件で、その8割以上が子ども本人からのものでした。ここ数年、長期化するコロナ禍の影響から、子どもたちからの心身の不調に関する相談が多く寄せられており、小・中学校に相談ポストを設置する「はぴくろのお手紙相談」、Google meetアプリを活用した「はぴくろの子ども向けオンライン相談」、子どもたちが元気になれる情報を発信する「インスタグラムでの啓発」、子どもたちの思いを聴いて社会へ発信する「子ども委員会」など、情勢に合わせた活動を迅速に進めています。


宗像市では、子ども専用フリーダイヤルを作っており、子どもの権利相談員として、臨床心理士、社会福祉士、教員免許取得者の3名が相談室に常勤で配置されており、それとは別に子どもの権利救済委員が社会福祉士、教育関係者、弁護士の3名が非常勤で配置されています。事業費は、令和2年度ベースでは1449万円となっています。


引用は以上です。なお、参考として、福岡市が小中学生に配布したタブレット端末を使った相談事業を行なっていますが、これは、相談サイトを作りチャットか音声で相談するものですが、2022年度は虐待の相談が急増して130件で前年度19件に比べて6.8倍になったそうです。タブレットなら相談できる、というのが今の子どもの現状です。


ここで、次の通り提案します。
まず、1つ目ですが、宗像市のような周知の方法を行えないでしょうか。
2つ目は、専門資格を持った常勤の子どもの権利相談員を配置するべきではないでしょうか。
3つ目は、子育て支援課ではなく、専用のフリーダイヤルを設置するべきではないでしょうか。
4つ目は、小中学校のタブレットを活用した、Google meetアプリなどでのオンライン相談を導入するべきではないでしょうか。
5つ目は、以前も提案しましたが、小中学校にポストを設置し、はがきや封書などでの相談を行うべきではないでしょうか。
6つ目は、メール、FAX、札幌市や福岡県が行っているようなSNSを活用したLINE相談など検討するべきではないでしょうか。
そこで、質問項目1、今述べたような形で「子どもの権利救済委員の広報強化と相談体制を充実するべき」ではないでしょうか。想定される予算額を含めて、執行部の見解を求めます。

(健康福祉部長 答弁)
初めに、子どもの権利救済委員の広報強化についてですが、現在はホームページへの掲載の他、筑紫野市子ども条例のチラシにおいて相談窓口として掲載し、学校を通じて児童・生徒等への周知に努めております。しかしながら、相談者はほぼ保護者であり、相談件数も少なく推移しているため、今年度は子どもに接する機会の多い職種へ重点的な周知を行い、子どもへの周知につなげていくことを検討しております。


次に、子どもの権利救済委員の相談体制強化についてですが、本市で、宗像市の事業を同規模で実施した場合、人件費等のソフト面の予算のみで1,300万円程度の事業費が想定されます。今後は、先進自治体を参考に、本市の既存事業を分析し、子どもや保護者等が利用しやすい相談窓口となるよう検討してまいります。