次に、質問題目3、「市民図書館の利便性向上について」です。
まず、1つ目です。現状と課題ですが、全国的な傾向ですが、子どもの読書離れがわが市でも現れており、筑紫野市教育振興基本計画には、「子どもの読書活動の推進に関する法律第9条2項に規定する筑紫野市子ども読書活動推進計画としての取り組みとして、子どもの読書意欲の向上や市民図書館の利用促進に努める」とあります。
また、以前の議会で、読書バリアフリー法の施行に伴い、わが市でも「視覚障害者や発達障害者などに向け、本文が点字または文字が大きい図書や小説などの朗読を録音した録音図書、読書支援のための対面朗読室などを整備し、提供しており、今後も視聴覚障害者などの利用実態や需要を踏まえながら、利便性の向上に努める」との方針が示されています。
文科省告示の「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」では、市町村立図書館による「利用者に対応したサービス」の1つとして、「宅配サービスの実施」が例示されています。また、障がい者差別解消法への対応策を日本図書館協会障がい者サービス委員会がまとめた「図書館における障がいを理由とする差別の解消の推進に関するガイドライン」には、合理的配慮の一例として、「自宅に出向いての貸し出し」や「来館が困難な人が対象の職員による宅配サービス」を挙げています。ちなみに、障がい者差別解消法における合理的な配慮の提供は自治体の法的義務であり、不提供をするなら「過度の負担である」ことを証明しなければなりません。
1級、2級の肢体不自由者や視覚障がい者の方向けとなると、郵送・宅配料について、点字郵便物、特定録音等郵便物は郵送料が無料であり、重度障がい者用ゆうメールは基本料金を半額に減免されており、図書館の費用負担が比較的少ないこともあり、図書館負担とすることが一般的ですが、返送は利用者負担としたり、ボランティア宅配を活用したりする例もあります。
高齢者に対しては、「高齢者世帯宅配」を実施している自治体もあり、図書館員が宅配するサービスを行うことで、利用者に費用負担が生じないようにされています。
筑紫野市においてもブックスタート事業は行われていますが、他の自治体では、子育て世代に対して、乳幼児の保護者や妊婦、子育て支援活動者を対象に宅配料は利用者負担で「おすすめ絵本・育児書の宅配セット貸し出し」を実施しているところもあります。
筑紫野市にもつくしんぼ号など良い行政サービスがありますが、それでも「子どもが小さいと図書館に行くのが大変」「図書館が遠くていけない」など共働きの子育て世代や開館時間中に来館できない利用者に向けた新たな取り組みとして、新たなアウトリーチ型のサービスを提供するべきではないでしょうか。人手と費用を要しますが、その経費としてかかる郵送・宅配料を受益者負担とすることで、新たな予算の確保をしなくても、サービスの提供ができるのが特徴です。
書籍の郵送・宅配サービスは、近隣市では、福岡市、久留米市、筑後市、春日市で行われています。
そこで、質問項目1、今述べたような「書籍等の郵送・宅配サービスを導入するべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。
次に、2つ目です。
現在、返却ボックスについては、図書館のブックポストやつくしんぼ号での返却が可能です。あらゆる人に対して、さらなる利便性向上のために、コミュニティセンターや駅で返却できるよう、返却ボックスを設置するべきだと考えます。なお、同様の取り組みは大野城市や春日市で行われています。
そこで、質問項目2、「コミセンや駅等に返却ボックスの設置をするべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。
次に、3つ目の項目です。現状は、市民図書館の利用者の推移は、平成28年度は17万8,101人、平成29年度は18万1,479人、平成30年度は18万6,571人と増加している状況です。令和元年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、貸出総冊数、新規登録者数が減少傾向にあるという課題があります。
また、筑紫野市の図書館は、いわゆる貸出型のタイプで、市民の方から武雄図書館のような滞在型図書館を望む声はありますが、施設の構造上、建て替えや大規模改修が必要となり、導入は難しいという課題もあります。
そこで、最近注目されているのが、福岡県、福岡市、田川市、宗像市、行橋市、春日市などの自治体で導入が進んでいるのが、電子図書館の取り組みです。電子図書館は、大手書店と契約してシステムを導入し、インターネット上で電子書籍を借り、パソコンやスマートフォン、タブレット端末を利用し、ネット上で閲覧する仕組みです。電子書籍は、スマホなど画面上で文字を拡大でき、音声読み上げ機能もあり、視覚障がい者の方にも便利なよう対応しています。返却期限になれば自動的に読めなくなり、未返却や破損の恐れもありません。
効果としては、「書籍のリクエストは受け付けているか」などの反響や、コロナ禍前に比べて貸出数が急増するケースも出ています。小中学生は児童書や問題集を借りるケースが多く、それ以外でもヨガやストレッチなど健康や料理に関する本、ガイドブックの貸し出しが多いそうです。
私は、市民の方からのご意見から、利便性向上のため、「いつでも・どこでも本が読める」という事が求められているのではないかと考えています。
そこで、質問項目3、「電子図書館を導入するべき」ではないでしょうか。執行部の見解を求めます。
【答弁要旨】(答弁者:教育部長)
初めに、書籍等の郵送・宅配サービスについてですが、導入自治体では、利用件数が少ないことや、本の梱包作業から集荷依頼など申込みから到着まで数日がかかるため、現在のところ導入する予定はありません。
次に、返却ボックスの設置についてですが、利用者は、本の借用と同時に返却する傾向が高いことや、返却ボックスを設置する自治体では、ゴミの投入による本の汚損など課題もあることから現在のところ考えてはおりません。
次に、電子図書館の導入についてですが、来館が難しい利用者やコロナ禍でやむなく休館となった場合でも専用のホームページから電子書籍を貸し出し、スマートフォンなどで読むことができることから、調査・研究を進めてまいります。